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「答えない」クイズ

この記事は、完成したらBackspacekey Advent Calendarに参加するつもりで執筆し、間に合わなかった記事です。

 

「クイズって賢い人の遊戯じゃないの?」

日本には【頭が良い人アレルギー】というのが存在すると思っていて、良い大学に入らないとクイズってつまらないでしょ?と思われる、それがクイズの敷居の高さになっているかもしれないと思っている。しかし、この記事で話したいことは当然そういうことではない。端的に言ってしまえば、クイズに触れることで世の中を見る視野を広げませんか、という提案である。つまり、クイズには【答える】以外の楽しみ方があるということを伝えたい。

 

あるいは、これを読んでいる人も、クイズ番組を見て「芸能人より早く正解できた!」と思ったことがもしかしてあるかもしれない。地上波で長寿番組『アタック25』が終了し、ピーク時に比べればテレビクイズ番組(つまり、日常でクイズを目にする機会)は減ってしまったように思うが、『東大王』や『Qさま!!』などクイズ番組枠は根強く残っており、また近年ではYouTubeでもクイズという世界を盛り上げようとするチャンネルも立ち上がっている。

 

クイズって、面白いよ。

 

何が面白いのか

クイズで問われることは【森羅万象】である。クイズはこの世に存在した【概念】全てを言語化しうるものであり、逆に言えば、クイズを見れば森羅万象が見られるということである。これは例えば辞書やWikipediaにも言えることではあるが、辞書やWikipediaは【知りたいことを探しに行くツール】であるのに対し、クイズは【知らないかもしれないことが飛び込んでくるツール】となりうる。

 

クイズを【作る】時の視点として、特にバラエティ番組のクイズでは顕著だが、一般的にクイズは「解く人を苦しめよう」と思って作られるものではない。クイズを作る人が最も重視するのは「それを出題する意図があるか」ということである。これもクイズの持つ面白さを形成するファクターの1つとなる。例えば「俺が小学3年生の夏休み最終日に食べた晩ご飯は何でしょう!」というのは、答えはあるのでクイズとしては成立するが、誰も答えに興味ないし、「正解は焼肉です!」となっても、そうなんだ、へーで終了なのである。クイズは基本的にはこうあってはならないという暗黙の了解がある。

 

「とっとと例を見せろ」はーい

では、実際にどういうクイズが【存在する】のか。

クイズに親しんだ人がクイズ初心者に出しやすいクイズはこれである。

「なぜ山に登るのか」と聞かれ「そこに山があるから」と答えたエピソードで有名な、イギリスの登山家は誰?

答えは【ジョージ・マロリー】で、これの【クイズ的】な面白さは、クイズに親しんだ人はみんな「なぜやま」と耳で聞いた瞬間に答えられる、というものだ。これはクイズ界では手垢のつけられまくったド定番中の定番(クイズ界では【ベタ問】という)で、実際にこういうTシャツも存在する。

booth.pm

しかし、今回皆様に伝えたいのは「クイズ界のあるある」ではない。「こういうクイズがあるんだ、面白そうじゃん」と思わせたいのである。

 

Q,1.

下水道を普及させるなどの業績から「近代衛生学の父」とも呼ばれるドイツの衛生学者で、コレラの原因が細菌ではないという主張を証明するため、自らコレラ菌を飲んだというエピソードが残るのは誰でしょう?

 

Q2.

日本語では「語音転換」という、マイケル・ジャクソンをジャイケル・マクソンと言ってしまうように2つ以上の言葉の頭の音を入れ替えて読み替えてしまうことを何というでしょう?

 

Q3.

1879年に印画紙の特許を取得しているイギリスの物理学者で、エジソンより1年早く白熱電球の特許を獲得し、自身の家が世界で初めて電球が灯った家となったのは誰でしょう?

 

Q4.

ジュール・ルナールの著書『博物誌』の中で、「二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。」と書かれている昆虫は何でしょう?

 

Q5.

穿き込んだデニムに見られる色落ちのうち、特に膝の裏のシワに沿ってできるもののことを、見た目をあるものにたとえて日本では何というでしょう?

 

(出題ここまで)

 

いかかでしたか?

これらの問題群は、当然答えの知っている問題が1問でもあれば素晴らしいことだと思うが、答えられなくても、世界にはあらゆる自称があり、こんなことをやった人がいる、こんな事象に名前がついている、そういったものがクイズでは手軽に摂取できるということが伝われば良いなと思う。

 

【答えない】クイズを楽しむためには大量のクイズ問題が必要になるだろう。この記事を読んでクイズに興味を持った!という方がいるのであれば、まずはクイズ問題の掲載されたファイルが無料でダウンロードできるサイト『クイズの杜』をお薦めしたい。

また、クイズにはもちろん書籍も多く存在する。ここでは書店やネットショップで購入できるものを紹介しておく。

クイズモンスター・古川洋平のクイズ虎の巻 (QUIZ JAPAN全書) 

・天才頭脳・水上颯の「最強クイズ全書」 (1) (2)

クイズタレントが多くなってきた、というのは有難い。番組のアーカイブというのはなかなか見られないが、こうやって書籍を刊行してくれるといつまでも手許に置いておくことができる。

しかし書籍で買えるタレントクイズ本はどうしても【問題集】以外の部分が多くなるのも事実である。上に紹介した本はそういった部分が少ないもの、クイズ問題の掲載割合が多いものを選んでいるが、自分語りのパートが多くなってしまうものが多いのも否めない(そういった読み物に興味がある人が一定数いるということの裏返しであり、そういった部分を否定しているわけではない。この記事の趣旨とは異なる)。それに比べて問題の純度が高いのが、BOOTHクイズ宅急便などで購入できるような同人誌問題集であり、こういったものが数多く存在するのもクイズの魅力である。

 

最後に

クイズは論文と同じで【正しさ】が重要視され、それゆえに【出典】が必要になることがよくある。上に示した5つのクイズは以下のクイズアプリからの転載となる。これは早押しクイズを楽しむものであり、【答える】ことが必要になるものである。自分は答えるクイズ、すなわち早押しクイズに関して長けている方ではないが、早押しクイズの魅力は何といっても【脳の隅にある情報を引き出した時の快感】である。このクイズアプリは現存するものとしては老舗であり人気も高い。気になる方はどうぞ。

minhaya.com

 

以下は出題したクイズの解答となる。それでは。

 

 

 

A1.マックス・フォン・ペッテンコーファー

A2.スプーナリズム

A3.ジョゼフ・スワン

A4.蝶

A5.ハチノス